Saturday, 7 April 2007

紋章学(HERALDRY)その8 オーストリア・ハンガリー帝国(Österreich-Ungarn)国章


オーストリア・ハンガリー帝国の国章は、
 
第一次世界大戦中に制定されたもので、
 
多民族の融和を計るため最も複雑な構成となっている。
 
オーストリアとハンガリーを表す2つの盾と王冠があり、
 
サポーターの1人は
 
オーストリアを表すグリフォン(上半身が鷲、下半身が立ち上がる獅子)であり、
 
他方はハンガリーを表す天使である。
 
盾の中はハプスブルク家の紋章双頭の鷲を始めとする
 
多数の構成民族の紋章が組み込まれている。
 
また、盾の間には騎士団章(勲章)が配置されている。

紋章学(HERALDRY)その7 イギリス王室(BRITISY ROYAL FAMILY)紋章



まず、すぐに解るのは、


イギリス王室の紋章は大紋章であるということ。



盾の両側のサポーターは、

イングランドの象徴の獅子と


スコットランドの象徴のユニコーンで、

ロイヤルファミリーの証である、正面向きのゴールドのヘルメットの上には

王冠が置かれ、


クレストは王冠をかぶった獅子である。


盾の領域は四分割され、イングランドの紋章「3匹の獅子」が2つ入っており、


スコットランドの紋章「立ち上がる獅子」、


アイルランドの紋章ハープがそれぞれ描かれている。

まったく以って奥の深い紋章です。

紋章学(HERALDRY)その6 5.モットー(Motto、巻物)

5.モットー(Motto、巻物)


モットー そのファミリーの「家訓」や「格言」、

戦いでの「口上」「決まり文句」など、まさに「モットー」を記したものです。

これはクルクルっとしたリボンのようにも見えるスクロール(巻物)状のものに記され、

紋章盾の周囲に配置されます。

大抵はコンパートメントの下、

ものによっては盾の下に配置されることが多いみたいですが、

上の方に配置されたり、上下に2つあったり、

またサポーターに巻きついてたりといろいろなバリエーションがあるようです。 

紋章学の発祥に関係してか、モットーはフランス語で書かれているみたいです。


次は、実例にいきまっす。

紋章学(HERALDRY)その5 4.クレスト(Crest、兜飾り)



4.クレスト(Crest、兜飾り)

クレスト(兜飾り) ヘルメットの上に取り付けられた飾り物です。

よく中世史劇やファンタジー映画などでは、

騎士のヘルメットの上に翼を広げたドラゴンや猛るユニコーンの像が載っていたりするのをご覧になったことがあるかもしれません。

あれがクレストというやつです。

クレストは木や皮で作られた彫像であったり、

動物の角や翼を模ったもの、

また宗教的なシンボルのような物だったりもするようです。 

クレストは「ファミリー」を表すものとされていたようで、

代々同じタイプのクレストでヘルメットを飾っていたようです。

もちろん、実戦に赴く者であれば、実際のヘルメットにも付けていたことでしょう。

紋章学(HERALDRY)その4 3.サポーター(Supporter、盾持ち)







3.サポーター(Supporter、盾持ち)


サポーター(大紋章) 紋章盾を支えるように描かれ、

そのほとんどが動物(想像上の生物も含む)です。

サポーターが何故紋章に使われるようになったのかという理由は、

よくわかっていないようです。

ただし、サポーターを紋章に用いることができる者については、

国によって多少の制約的なもの(ちゃんとした貴族でないとダメ等)があったりするみたいです。

サポーターには想像上の生物、

つまりユニコーンなどのファンタジックな生物も用いられます。

紋章学(HERALDRY)その3 2.ヘルメット(Helm、兜)、マント(Mantling)




2.ヘルメット(Helm、兜)、マント(Mantling)



ヘルメット ヘルメットは紋章の上に載せて描かれます。


初期は樽型ヘルメットが多かったこともあり、


紋章にも樽型が使われていたようですが、やがてヘルメットの形も変わっていき、


紋章に用いるヘルメットの形も変わりました。





16世紀になると、イギリスでは紋章に用いるヘルメットの形が4種類と定められ、


明確にルール化されました。


この4種とは(下図参照)、








(1)国王及び皇太子のもの、


(2)貴族のもの、


(3)準男爵及び騎士のもの、


(4)エスクワァイア及びジェントルマンなど郷士級のもの


から成ります。





これら制度化されたヘルメットは、


縦格子状のバイザーがついた「ある意味ヘルメットらしいヘルメット」という形をしています。 


これらにはそれぞれ特長があり、


(1)は全て金色で正面を向いている、


(2)はヘルム本体は銀色&バイザーだけが金色で向って左向き、


(3)は全て鉄色(iron color)で正面向き、


(4)は全て鉄色で向って左向き


となり、見ただけでそれとわかるようになっています。





つまり、紋章の上のヘルメットが全て黄金色で正面を向いているなら国王や皇太子の紋章、


というようにそれだけである程度の情報が読み取れるわけです。 


実際の紋章学では、このように明確に形まで制度化されているヘルメットですが、


ファンタジーに導入する際には、


DMが「厳格に同じようにしなきゃいやだ」とか言ってるのでないなら、


これと全く同様の「形」にする必要は無いとも思います


(実際に、バケツ型ヘルムを描いた紋章などもあります。)。


でも(1)~(4)までのヘルメットの色の特徴だけはそのまま採用してもいいのではないでしょうか。


そうすれば、実際の紋章学のように、


紋章に描かれたヘルメットによって位階が見分けることができます。 


なお、基本的には、ヘルメットは聖職者の紋章には使われることはありません。


聖職者は「戦い」を生業としていない、という理由からのようです。


マント 紋章の上に載せられたヘルメットのその背後には、

端がビラビラになった帯のようなリボンのようなものがありますが、

これは実はマントです。

ビラビラになっているのは、激しく戦い抜いてボロボロになった様子を表しているもので、

勇敢さを表すものでもあります。


ただし、マントの色もヘルメットと同様に制約があります。

国王や皇太子はマントの表(背中側)が金色で、

裏(正面側)は白テンの毛皮の模様(アーミンスポットと呼ばれる)となっていますが、

それ以外の普通の貴族などでは、

金色または銀色と原色系の普通色が組み合わされて使われています。 

なお、マントも、ヘルメットと同様、聖職者の紋章には使われません。

聖職者が勇敢に戦う必要なんてないから、ということのようです。

紋章学(HERALDRY)のその2 1.シールド(Shield、盾)


1.シールド(Shield、盾)




紋章の盾の形は、今では「いわゆる標準的な盾の形」、

つまりアイロン型=ヒーターシールドに近い形が一般的に用いられているようですが、

昔はいろいろな形が使われていたようです。


元々、紋章が使われるようになった頃には、

今よりももっと縦に長い形の盾、

いわゆるヒーターシールドを(カイトシールドほどではありませんが)が用いられていました。

しかし、紋章の継承に伴い、

いくつもの紋章が組み合わされるようになると、

縦長では図柄として描きにくくなり、やがて紋章を描く際には、

今のような標準的な(ヒーターシールドの様な)形が使われるようになっていきました。

こうして「実戦で使う盾」と、「紋章の盾」の形が必ずしも同じではなくなっていったため、

実戦の盾のことを「シールド(shield)」、

紋章の盾のことを「エスカッシャン(escutcheon)」と区別して呼ばれることになりました。


現在は「普通のヒーターシールド的な」形(下図上段の左から1番目)が一般的ですが、

それまでには国や地方によって様々な形の盾が使われていたことがありました。

これらの形は「~型」と称されますが、

これはその国の紋章が全てこの形だったというわけではなく、

また他の国の紋章にこの形が無かったというわけでもありません。

ただ単に、その形がその国で(だいたい)最初に使われるようになったという事を表しています。




左上から
アイロン型(ヒーターシールド型)、ドイツ型、
スペイン型、イングランド型、フランス型、

スイス型、ポーランド型、イタリア型、
相続権を持つ婦人用、聖職者用



紋章盾の形で変わったものといえば、「馬頭形」(上図下段の1番右)があります。

これは聖職者の紋章に使われた形です。

中世以降、ヨーロッパでは聖職者も権力を持ち、広大な荘園のような領地を所有、

支配していることが少なくありませんでした。

このため、土地支配者である貴族たちと同様に紋章をもっている聖職者も結構いたわけです。

ちなみに、聖職者の紋章が全て馬頭型だったというわけではないようですが、

聖職者以外でこの馬頭型の紋章をもっていた者はほとんどいなかったようです。

 もう一つ変わった紋章盾の形があります。

それが「菱形」(上図下段の右から2番目)です。

基本的に、紋章というものは親から子へ継承されていくというのが前提になっており、

家を継ぐのは男子とされていました。

つまり、息子しか紋章を持っていなかったということになります。

しかし、全ての貴族の家に、必ず男の子が生まれるとは限りません。

なかには女の子しか生まれなかった家もあるはずです。

そんな場合、その娘は「相続権」を持つことになり、

紋章も持つことになります。このような場合、

相続権を持つ独身女性の紋章に菱形が使われました。

このような女性が結婚すると、自身の紋章を真ん中から左右に分け、

左側に夫の、右側に自分の紋章を入れることになりました。

また男性も、相続権を持つ女性と結婚した場合には、

同様に妻の(生家の)紋章を、自分の紋章に加えることとなりました。

妻の生家が高位貴族だったりしたら、その爵位まで自分のものになり、

紋章も取り入れることができたわけです。



そんな具合に紋章の盾にも色々意味があります。

紋章学(HERALDRY)のその1

ヨーロッパでは戦場における個人の識別マークとして、




盾に紋様を描くことが行われていたが、

これが固定された紋章(Coat of Arms, Blazon)となるのは、


12世紀半ば頃だそうです。



その理由の1つとして当時、

流行していた馬上槍試合で兜で顔を隠した個人を明確に識別するために必要とされたことが挙げられる。


ちなみこの画像の部分一つ一つに意味があり、





1.シールド(Shield、盾)








2.ヘルメット(Helm、兜)、マント(Mantling)






3.サポーター(Supporter、盾持ち)












4.クレスト(Crest、兜飾り)






5.モットー(Motto、巻物)





なんです。
 
更に、盾だけのシンプルに描かれた紋章を「小紋章」、
 
ヘルメットとマントのみ付属させたものを「中紋章」、
 
その他のアクセサリーも共に描かれた紋章を「大紋章」と呼んだりします。
 
深いでしょ。

次は意味を。

紋章(Coat of Arms)のその1


とりあえず、これウィキペディアそのままですw↓↓。

『紋章(もんしょう)とは、個人、組織、団体を特定するため使用されるマークである。
 
家柄を表すものは厳密な規則に従って作成され、
 
分家や縁組などでそのバリエーションが生まれている。』

  
そして、ヨーロッパ紋章学そのままww↓↓。


『コート オブ アームズについて、
 
紋章が個人の識別に使われたとの事ですが、


騎士たちの装備が重装化するに従って、

そのままでは誰が戦ってるのやら、

手柄を立てたのやらわからない状況になりました。
 
そこで手に持つ盾に紋章を付けたり、

また鎧の上に着るサーコートに描いたりするようになりました。

このサーコートに描かれた紋章(盾)という意味で、
 
紋章のことを「コート オブ アームズ(coat of arms)」と呼びます。』
 

奥深そうでしょ。


深すぎて帰ってこれません。