Saturday, 7 April 2007

紋章学(HERALDRY)その3 2.ヘルメット(Helm、兜)、マント(Mantling)




2.ヘルメット(Helm、兜)、マント(Mantling)



ヘルメット ヘルメットは紋章の上に載せて描かれます。


初期は樽型ヘルメットが多かったこともあり、


紋章にも樽型が使われていたようですが、やがてヘルメットの形も変わっていき、


紋章に用いるヘルメットの形も変わりました。





16世紀になると、イギリスでは紋章に用いるヘルメットの形が4種類と定められ、


明確にルール化されました。


この4種とは(下図参照)、








(1)国王及び皇太子のもの、


(2)貴族のもの、


(3)準男爵及び騎士のもの、


(4)エスクワァイア及びジェントルマンなど郷士級のもの


から成ります。





これら制度化されたヘルメットは、


縦格子状のバイザーがついた「ある意味ヘルメットらしいヘルメット」という形をしています。 


これらにはそれぞれ特長があり、


(1)は全て金色で正面を向いている、


(2)はヘルム本体は銀色&バイザーだけが金色で向って左向き、


(3)は全て鉄色(iron color)で正面向き、


(4)は全て鉄色で向って左向き


となり、見ただけでそれとわかるようになっています。





つまり、紋章の上のヘルメットが全て黄金色で正面を向いているなら国王や皇太子の紋章、


というようにそれだけである程度の情報が読み取れるわけです。 


実際の紋章学では、このように明確に形まで制度化されているヘルメットですが、


ファンタジーに導入する際には、


DMが「厳格に同じようにしなきゃいやだ」とか言ってるのでないなら、


これと全く同様の「形」にする必要は無いとも思います


(実際に、バケツ型ヘルムを描いた紋章などもあります。)。


でも(1)~(4)までのヘルメットの色の特徴だけはそのまま採用してもいいのではないでしょうか。


そうすれば、実際の紋章学のように、


紋章に描かれたヘルメットによって位階が見分けることができます。 


なお、基本的には、ヘルメットは聖職者の紋章には使われることはありません。


聖職者は「戦い」を生業としていない、という理由からのようです。


マント 紋章の上に載せられたヘルメットのその背後には、

端がビラビラになった帯のようなリボンのようなものがありますが、

これは実はマントです。

ビラビラになっているのは、激しく戦い抜いてボロボロになった様子を表しているもので、

勇敢さを表すものでもあります。


ただし、マントの色もヘルメットと同様に制約があります。

国王や皇太子はマントの表(背中側)が金色で、

裏(正面側)は白テンの毛皮の模様(アーミンスポットと呼ばれる)となっていますが、

それ以外の普通の貴族などでは、

金色または銀色と原色系の普通色が組み合わされて使われています。 

なお、マントも、ヘルメットと同様、聖職者の紋章には使われません。

聖職者が勇敢に戦う必要なんてないから、ということのようです。

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